視界線と見通しの強いエリアを分類する
「この角は安全だと思って歩いてたのに、なぜか毎回見つかる」。あるいは、「見つけた瞬間にはもう相手が近くにいて、対処の時間がない」。こういう場面の裏側では、マップの上に引かれた見えない線を読み切れていないことが多い。前STEPで「使い方の地図」という発想を置いたけれど、今回はその中の1色、黄色に相当する「視界線」をもう一段深掘りしていこう。
視界線とは、相手の目から伸びている直線のこと
視界線という言葉は、ゲームによっては別の呼び方をされることもある。ここでは「相手の視点から伸びている、遮られない直線」を指して視界線と呼ぶことにする。相手がその場所に立っている限り、視界線の上にある自分は見えている状態になる。
マップを使い方の地図として読めるようになってきたら、次は視界線の引き方を頭の中で描けるようになると、立ち回りの精度が一段上がってくる。とはいえ、相手の視点は自分には見えない。だから、視界線は推測で引く必要がある。推測を楽にするのが、いくつかの典型パターンを覚えておくことだ。
視界線の3タイプ
マップの中にある視界線は、大きく分けて3つのタイプに整理できる。
- 長い視界線 -- 遮蔽物の少ない開けたエリアに走る、距離のある直線
- 短い視界線 -- 通路や室内の中にある、短く急に現れる直線
- 曲がる視界線 -- 窓や段差、半透明の遮蔽越しに通る、予想しづらい直線
長い視界線の上に入るのは比較的避けやすい。事前に見える状況だから、開けたエリアを横切るときだけ気をつければいい。厄介なのは、短い視界線と曲がる視界線の2つだ。短い視界線は「曲がった瞬間に目の前に相手が立っている」状況を作り出し、曲がる視界線は「見えないところから見られている」状況を作り出す。
短い視界線 -- 通路と部屋の入口で起きる急な接触
短い視界線は、通路と部屋の入口の組み合わせで発生しやすい。例えば、L字の通路を曲がった瞬間、直前まで視界に入っていなかった場所が一気に開ける。そこに相手が立っていると、こちらはほぼノータイムで接触することになる。
このタイプの視界線には、2つの対処法を考えてみよう。
対処1 -- 入る直前に一拍置く
L字の手前で完全に止まる必要はない。ほんの半歩分、自分の動きを遅らせるだけで、相手が見えている時間と自分が見えている時間の順番が入れ替わる。半歩の遅らせは、自分の中に「この角は短い視界線のタイプだ」と言葉で認識できたときにだけ発動する。角を見る目を、マップの読み方として育てるわけだ。
対処2 -- 音を先に流す
通路の中で意図的に足音やスキル音を一瞬だけ立てると、相手の注意がこちらの方向に向く。相手が構え直したタイミングを狙って、入るか戻るかを自分で選べる。これは少し中級寄りの話だけれど、短い視界線の存在を知っていれば自然に出てくる発想だ。
曲がる視界線 -- 見えないはずの場所から見られる現象
もう一つの難所が曲がる視界線だ。これは、窓・段差・半透明の遮蔽・網目状のオブジェクトなどを通して成立する視界で、一見すると「見えないだろう」と思える場所から相手が自分を確認できてしまう。初見のマップで最も驚きやすいタイプの視界線でもある。
曲がる視界線への対処は、「知っているかどうか」にかなり依存する。だから、このタイプについては観察の時間を意図的に取ることをおすすめしたい。
観察の手順
曲がる視界線を見つける練習は、特別な試合を用意する必要はない。普段の試合の中で、次の3つを意識するだけでいい。
- 撃たれた瞬間や見つかった瞬間に、相手がどこに立っていたかを記憶する
- その場所と自分の位置の間に何があったかを思い出す
- 壁・窓・段差・網などの遮蔽越しに視線が通っていた可能性を考える
この3点セットを何度か繰り返すと、「このマップにはこういう曲がる視界線がある」という知識が少しずつ頭の中に溜まっていく。ここで得た情報は、そのマップ専用の知識として意味を持つ。
視界線の境界にどう立つか
視界線のタイプを見分けられるようになってきたら、次は「見える」と「見えない」の境界にどう立つかという実践に移っていこう。境界の使い方には2つの発想がある。
発想1 -- 境界の内側に立つ
自分の安全を最大化するなら、視界線の内側(相手から見えない側)に立ち続けるのが基本だ。ただ、完全に見えない場所に立ち続けると情報が入ってこない。見えないことと見えないことは、情報量では同じになる。だから、境界の内側に「一瞬だけ出て、一瞬だけ戻る」動きが有効になってくる場合がある。
発想2 -- 境界の外側にあえて出る
逆に、状況によっては境界の外側にわざと出る選択もある。相手に自分の位置を見せることで、相手の注意を自分の方に引きつけ、味方や仲間の動きを楽にする。見えることも一つの情報発信だ、と考えられるようになると、視界線の扱いが受動から能動に切り替わってくる。
どちらを選ぶかは、その時の試合の局面による。正解は一つではない。ただ、自分が今どちらを選んでいるのかを言葉にできると、外したときの振り返りができるようになる。
チェック -- 直近の試合で思い出せる視界線はあるか
次の問いに、記憶の中から答えを探してみよう。
- 直近の試合で、「なぜか見つかった」場面を一つ思い出せるだろうか
- その場面で、相手が立っていた位置を思い出せるだろうか
- 自分と相手の間にあったのは、どんな遮蔽物だっただろうか
- その視界線は、短い視界線と曲がる視界線のどちらに近かっただろうか
問いに全部答えなくてもいい。答えにくい部分が残ったら、それが次の試合で観察する対象になる。観察と言語化の循環が、マップの読み方を一段深くしていく。
このSTEPのまとめ -- 見えない線を読めると動きが変わる
視界線は、マップの上に描かれていない情報だ。描かれていないからこそ、読めるようになった人だけが一段先の立ち回りに入れる、という言い方もできる。今日の1試合では、見つかった瞬間に「相手はどこから見ていたのか」という問いを1つだけ持ち帰ってみよう。それを何試合か繰り返すうちに、マップの上に少しずつ見えない線が浮かび上がってくるはずだ。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。