詰まった時に「違う道」を選ぶ勇気 -- 同じ壁に頭をぶつけ続けない
「このボスに20回挑んで、もう心が折れそう」。ソウルライクを遊び始めて最初の大きな壁に当たると、たいていの人は同じ敵への再挑戦だけを繰り返してしまう。それで突破できるなら問題はない。ただ、このジャンルにはもう一つ、ほとんどのガイドが大きな声で教えてくれない解き方がある。地図の別の場所に足を向けてみる、という選択肢だ。
縦に深掘りする前に、横に広げる
挑戦の積み重ねそのものは悪いことじゃない。同じ相手と向き合う中で気づける動作の癖は確かにある。ただ、ソウルライクのレベルデザイン(ゲーム内の地形・敵配置・報酬の置き方をまとめた設計思想)は、同じ壁にぶつかり続けるプレイヤーよりも、一度引き返して別の角度から戻ってくるプレイヤーを歓迎する作りになっている場合が多い。
エリアが分岐している地点に立ち戻ってみる。未踏の扉を開けてみる。行ったはずの道の脇に、まだ見ていない曲がり角がないかを確認してみる。こうした横方向の動きで得られる経験値・装備・新しい遺灰(ゲームによっては召喚石や従者と呼ばれる、戦闘を支援するキャラクター)は、さっきまでの「詰まり」を静かに解きほぐす場合がある。
「別の道」を選べない人の共通点
別の道を選べないプレイヤーの話を聞くと、共通する理由が2つ浮かび上がってくる。
- 今の挑戦を諦めるのが負けに感じる: 一度離れると戻れなくなる気がして怖い
- 別の道が正解かわからない: 迷った先でまた詰まりたくない
どちらも自然な感覚だ。特に1つ目は、挑戦を繰り返して削れてきた心が、離脱=敗北と受け取ってしまう状態に近い。けれど、ソウルライクの世界では撤退は選択肢の一種であって、敗北ではない。むしろ強くなってから戻ってくるという戦法は、このジャンルの醍醐味の一つに数えてもいいくらいだ。
ソウルライクの世界は「横道の方が広い」
この話をもう一段深く掘ると、ソウルライクというジャンルの設計思想に触れることになる。多くの作品で、一本道の攻略に見せかけて、実は横道の方が本道と同じかそれ以上の密度で作り込まれている構造が見られる。プレイヤーが気づかないだけで、歩いていない横道の先には、いまの詰まりを解くための鍵が置かれている場合が少なくない。
新しい武器が1本、未使用の戦灰が1つ、レベルを1つ底上げしてくれる素材のかけらが1つ。これらの要素が合わさって、いまのボスが倒せない自分を、来週には普通に倒せる自分に変えてくれる。数字の上での成長は控えめでも、手応えの変化としては結構大きい。
こう書くと「じゃあ強くなるまで本道を進めなければいいのか」と聞こえるかもしれないけれど、そうではない。強くなるためではなく、視点を変えるために横道を歩く感覚に近い。同じボスを別の角度から見直すための寄り道として、横道の経験が効いてくる。
最小の一歩 -- かがり火を1つ戻る
別の道を選ぶ勇気の練習として、とても小さな第一歩を試してほしい。挑戦中のボスからかがり火(作品によって「霊廟」「祈祷所」「月影」などとも呼ばれる、セーブ兼リスポーン地点)を1つだけ前に戻ってみるというものだ。
そこから見える範囲の未踏の路地を1本だけ歩いてみる。敵がいれば1〜2体だけ相手にして、落ちているアイテムを拾って、すぐ戻ってくる。ほんの10分でいい。小さな遠征のあとにもう一度ボスに挑むと、不思議と前より冷静に戦えている自分に気づく瞬間がある。
壁は「乗り越える」とは限らない
壁を目の前にしたとき、乗り越える以外の方法で抜ける道もある。迂回する、崩れるのを待つ、後ろから回り込む。ソウルライクの地形はそういう選択肢を用意しておいてくれるように組まれていることが多い。
「戻ってきたら別人になっていた」という体験
遠征から戻ってきた時に、前よりボス戦が冷静に戦えている、という現象はソウルライクをプレイしたことがある人の間でよく共有される。装備が変わったわけでもなく、レベルが大きく上がったわけでもない。なのに明らかに動きが違う。
この変化の正体は、気持ちが1回ボスから離れたことにあると考えている。連戦で追い詰められた頭は、目の前のボスしか見えなくなっている。そこに横道の景色を挟むと、頭の中に別の記憶が上書きされて、ボス戦への執着が薄まる。薄まった状態で戻ると、倒すことではなく戦闘そのものに集中できるようになる。
料理にたとえるなら、同じ鍋を煮込み続けて味が分からなくなった時、一度別の料理を作って舌をリセットするのに似ている。集中は持続するものではなくて、一度外して戻すことで質が上がる種類のものだ。ソウルライクの壁に対する一番静かな答えは、実はこの集中の外し方にあるのかもしれない。
今日の話は、詰まった時の心の固まりを少しほぐすための入口だ。このシリーズでは、脇道の見極め方や地図の持ち方に段階的に触れていく。まずは「別の道を選ぶのは負けじゃない」という感覚を、身体のどこかに置いておいてもらえたら嬉しい。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。