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戦術という言葉のハードルを下げる -- 約束事の集まりとして捉え直してみる

戦術という言葉のハードルを下げる -- 約束事の集まりとして捉え直してみる

「戦術を組まないと勝てない、って言われても、正直どこから手を付けていいかわからない」。スポーツゲームをオンラインで遊んでいると、この感覚にぶつかる瞬間があるんじゃないだろうか。操作はそれなりに安定してきた。個人技で抜ける瞬間もある。なのに勝てる試合と負ける試合の波が大きくて、その差がどこにあるのかが見えない。このSTEPでは、戦術という言葉を少しだけ軽くして、自分の言葉に置き換えるところから一緒に歩いてみたい。

戦術は「難しい設計図」じゃない

戦術と聞いたとき、頭の中に浮かぶのはどんな絵だろうか。ホワイトボードにびっしり書かれた矢印だったり、プロ選手が何時間もかけて組み上げた秘密のプランだったり、そういう重々しいイメージが先に立つかもしれない。

ところが、実際のスポーツゲームで動いている戦術は、もっと素朴なものだ。言ってしまえば「この場面ではこう動く」という約束事の集まりでしかない。守備のとき前線はどこまで下がる、攻撃のとき両サイドは広がる、そういう小さなルールの束だ。難しいのは個々の約束事じゃなくて、約束事を揃える作業のほうだと思っていい。

約束事は「3つ」だけでも機能する

戦術の本を開くと、ページ数の多さに圧倒されることがある。最初からその全部を把握しようとすると、かえって頭が真っ白になる。試しに、約束事を3つだけに絞って試合に入ってみる、という入り方がある。

  • 攻め終わりの帰り道 -- 攻撃が不発に終わったあと、誰がどこに戻るか
  • 中盤の主導権 -- ボールを奪った瞬間、前に運ぶか一度横に逃がすか
  • 守備の優先順位 -- 相手の誰を最初に警戒するか

3つなら頭の中に残る。残るから、実際の試合で思い出せる。思い出せるから、次第に自分のプレイの癖として身についていく。戦術が「設計図」に感じられるのは、いっぺんに10個も20個も抱えようとしているからで、3つまで絞ればただの合言葉くらいの軽さになる。

自分の言葉で言い直してみる

本や動画で見た戦術解説をそのまま覚えようとすると、言葉がどこか借り物のまま頭に残る。借り物の言葉は大事な場面で出てこない。だから少し遠回りでも、見聞きした戦術を一度自分の言葉に翻訳してみる作業をおすすめしたい。

「ゾーンディフェンス(選手が決まった範囲を守る守備方式)」という言葉を、自分なりに「エリアを配る」と置き換えてみる。「カウンタープレス」を「取られた瞬間に取り返しに行く」と言い直してみる。正確な定義から少しくらいズレても構わない。自分の頭の中で動きと結びつく言葉にしておけば、試合の最中でも引き出せる。

今日からできる、たったひとつの入口

このSTEPの最後に、1試合分だけ試してみてほしい入口がある。次の1試合だけ、さっきの「攻め終わりの帰り道」をプレイの最優先にしてみる。ゴールを決めることより、攻撃が終わった瞬間に自分と味方がどこに戻ったかを先に見る。それだけでいい。

不思議なもので、帰り道を意識するだけで試合全体のテンポがすっと整う場合が多い。約束事をひとつ持つだけで、迷いが減って判断が軽くなる感触がある。戦術はここから少しずつ足していけば十分だ。

3つの約束事が、なぜ7つや10つじゃだめなのか

ここで少し補足しておきたいのが、約束事を3つに絞る理由だ。人間の短期記憶には「マジカルナンバー7」や、もっと新しい研究だと「4±1」という上限がよく語られていて、試合中のように脳が動きのリアルタイム処理で埋まっている状況では、同時に抱えられる意識の数はさらに減る。実感としては、試合の最中に頭に置いておける約束事は3つ前後、というのが上限に近い。

これは将棋や囲碁のプロが局面の大方針を「3つの狙い」くらいに絞って読み進める話とも、ぼんやり重なってくる。強いプレイヤーは頭の中の選択肢を無闇に増やさない。むしろ絞ることで判断速度を保っている。戦術の約束事も同じで、5つ以上抱えた瞬間に、全部がぼんやりして結局どれも守れなくなる場面が増える。3つという数字は、欲張らないための現実的な上限だと捉えておくと腑に落ちやすい。次のSTEPでは、そうやって手に馴染ませた約束事の延長として、フォーメーション選びの話に入っていく。

執筆・編集NEXTGG編集部

ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。

公開 2026-04-12読了 約3

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