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「練習している」と「試合している」は別物 -- まずは役割のちがいから

「練習している」と「試合している」は別物 -- まずは役割のちがいから

「毎晩オンラインで何試合もこなしているのに、気付けば同じところでつまずいている」。スポーツゲームにそれなりの時間を注いできた自分の手に、こういう感触が残る時期があるんじゃないだろうか。プレイ時間は積み上がっている。勝ち負けの履歴も長くなっている。それなのに、ここ数週間の自分を客観的に並べてみると、新しく身についたものが見当たらない。このSTEPで一緒にほどいていきたいのは、その停滞の正体にある「練習と試合の役割の混同」という部分だ。

試合を重ねても、自然には上手くならない領域がある

まず、時間を使えば使うほど上手くなるんじゃないのか、という素朴な期待から一度降りてみたい。もちろん、試合を重ねれば自然に伸びる部分はある。ボールを運ぶリズムの感覚、画面内で視線を動かす速さ、ボタンの押し間違いが減っていくあたり。こういう層は、ある程度の試合数をこなしていれば勝手に磨かれていく。

一方で、試合をどれだけ積み上げても自然には身につかない層もある。具体的には、苦手な局面での新しい選択肢、あえて使っていない操作の引き出し、不利な場面での落ち着いた判断。この辺りは、試合中にいちいち試すとスコアに響くので、本番では無意識に避けてしまいがちだ。避け続けているものは、当たり前だけれど時間が経っても伸びない。

試合の目的は「勝つ」、練習の目的は「試す」

ここで整理しておきたいのが、試合と練習の目的のちがいだ。試合の目的は、シンプルに勝つことに向いている。勝つためには、成功率の高い選択肢を淡々と繰り出すほうが合理的で、わざわざ新しい動きを試して自滅する理由はない。つまり、試合中の自分は性質上「今できること」を繰り返すモードに寄っていく。

対して、練習の目的は試すことにある。できないこと、不安なこと、勝敗から切り離された選択肢に触れることこそが練習の中身で、極端にいえば練習中に負けが込んでもなんの問題もない。この目的のちがいを意識しないまま、試合ばかり積み重ねていると、試合で使える動きは維持されるけれど、使っていない引き出しは残ったまま錆びていく。

「試す時間」をどこに差し込むか

じゃあ今の自分に必要なのは、1日の中のどこかに「試す時間」を差し込む工夫かもしれない。といっても、特別な練習モードを何時間もこなせという話ではない。たとえば、ランクマッチに入る前の15分だけ、カジュアル戦に入って普段使っていない戦術を触ってみる。それだけで、試合中には避けていた選択肢に指が少しずつ馴染んでいく。

この15分を「もったいない時間」と感じるか、「本番の精度を底上げする時間」と感じるかで、この先の伸び幅が変わってくる場面は多い。短くていいから、勝ち負けと切り離された時間を自分の1日のどこかに確保できるかどうか。ここが最初の分かれ目になる。

今日やってみたいこと

このSTEPの締めに、一つだけ試してほしい小さな動きがある。次にスポーツゲームを起動したら、本番の試合に入る前に、自分の中で「いまから15分はカジュアル、これは試す時間」と言葉にしてから入ってみる。言葉にするだけで、その時間内の自分の態度が少し変わるはずだ。負けても悔しくない、勝っても無駄に舞い上がらない、そんな軽さで触れる時間を持てたら、練習という言葉の中身が自分の肌感覚に近づいてくる。

他の分野の「練習と本番の分け方」から借りてくる

視点を少し広げてみると、練習と本番を分ける発想は、スポーツゲームだけの話じゃない。楽器の演奏家は、自宅の練習室で新しいフレーズを試し続ける時間と、舞台の本番で作品を完成させる時間を、はっきり別物として扱っている。勉強の世界でも、教科書の例題を使って解法を試すフェーズと、模試や本試で実力を測るフェーズが、普通に分離されている。将棋の棋士が研究会で新しい戦型を試す時間と、公式戦で勝ちに行く時間を分けているのも、同じ発想の延長線だ。

この分離が効いているのは、練習と本番で必要な態度がそもそも別物だからだ。練習では失敗の回数を稼ぐほど上達につながる。本番では失敗を減らすほど成果に直結する。この正反対の性質を、同じ場所で同時に満たそうとすると、どちらも中途半端になる。オンライン対戦ばかりを積み重ねても伸びにくいのは、そこが「本番寄りの場所」として設計されているからで、練習としての役割を十分に果たせる構造になっていない場合が多い。自分のプレイ時間のなかに、意識的に練習寄りの場所を作ってあげること。これができた瞬間から、毎晩の1時間の使い方が静かに変わり始める。

執筆・編集NEXTGG編集部

ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。

公開 2026-04-12読了 約4

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