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拡張性を見越したモジュール設計

執筆・編集GAKU編集部

ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。

公開 2026-04-11読了 約5

「序盤に建てた拠点が、中盤を過ぎた頃から急に使いにくくなる」サバイバルをそこそこ遊んだ人なら心当たりのある展開だ。倉庫が溢れ、作業台の周りが渋滞し、増築した部屋が外壁からはみ出して不格好になってくる。この現象は腕の問題ではなく、設計思想の問題である場合が多い。ここでは「最初から完成形を描かない」という少し逆説的な発想を、モジュール(規格化された単位で後から増築できる設計)と黄金比の使いどころに分解しながら、一緒に整理していこう。

未完成を許す設計 -- フューチャープルーフの発想

拠点作りで詰まる人は、序盤から完璧な最終形を脳内に描いてしまう傾向がある。ところがサバイバル系のゲームは、進行に合わせて必要な設備がどんどん増えていく。精錬炉が1つで足りていたのが、気づけば5つ必要になる。魚の養殖槽、家畜小屋、ポーション工房、鉄道の駅。後から加わる要素は、最初の段階では存在すら知らない場合が多い。

だから現場の建築家は「未完成でいい状態」を設計する。未完成が悪いのではなく、伸びしろを残した状態こそが健全、という考え方だ。これは現実のオフィスビルや工場でよく使われている発想で、英語では「フューチャープルーフ設計」と呼ばれる。将来の変更コストをあらかじめ織り込んでおく、という意味合いになる。最初から全部埋めると、あとで一部を壊さないと機能を足せなくなる。焦って完成させなくて大丈夫だ。

モジュールとは何か -- 規格を決めるだけで未来が軽くなる

ここで登場するのがモジュールという考え方だ。たとえば「幅6ブロック×奥行き6ブロック×高さ4ブロックの部屋」を1モジュールと決めておき、拠点はその組み合わせで構成する。用途が変わってもサイズが共通なので、壁を繋ぎ替えるだけで役割を入れ替えられる。

これは現実のプロダクトデザインでも王道の手法で、IKEAの収納や、データセンターのサーバーラックが典型例として知られている。規格が揃っているから、増やすのも入れ替えるのも早い。拠点建築に持ち込むとこうなる。通路の幅は常に3マス、部屋の高さは常に5マス、扉は常に同じ位置。あらかじめルールを決めておくだけで、増築時に悩む時間がかなり短くなる。

後付けで部屋を詰め込んで拠点が崩壊する現象、いわゆる「増築の闇落ち」は、このモジュール規格を決めずに走り出したときに起きやすい。サイズがバラバラだと、繋ぎ目で必ず段差や余白が生まれ、そこから破綻が連鎖していく場合が多い。

規格を決めるときのコツは、手持ちの建材ブロックのサイズから逆算することだ。建材が3マス単位で切れ目よく並ぶなら、部屋の壁は3の倍数にしておくと無駄な切り欠きが出ない。地味な話だけれど、この「単位の揃え」が中盤以降の手戻りを減らす最大の武器になる。建築家が図面を引く前に、まずグリッドを設定するのと同じ理屈だ。

黄金比 -- 数式ではなく視覚の道具として使う

モジュールで機能面の拡張性を担保したら、次に効いてくるのが見た目の整え方。ここで黄金比の出番が来る。黄金比はおおよそ1対1.618という比率で、古代ギリシャのパルテノン神殿からAppleのロゴまで、人が美しいと感じる比率として長らく使われてきた歴史がある。

拠点建築で厳密に1.618を計算する必要はない。覚えておきたいのは「縦横の比率を2対3か3対5に寄せると収まりがよくなる」という経験則レベルで十分だ。メインホールの床を縦10×横16にする、窓の縦横を5対8で切る。これだけで拠点全体の印象が不思議なくらい整う。視覚の道具として、ゆるく使うのが現実的だ。

拡張の順番 -- 生活を止めないものから先に

最後に、何から拡張するかという話。優先順位は「生活を止めないもの」から決めていくと破綻しにくい場合が多い。まず拡張性の高い通路と外壁、次に可変レイアウトの作業エリア、最後に装飾や見栄え要素、という順番だ。

  • 通路と外壁 -- 骨格にあたる部分から先に固める
  • 可変エリア -- モジュール規格の空き部屋を先に並べる
  • 装飾 -- 骨格が固まってから最後に乗せる

逆の順番で進めると、装飾を壊さないと増築できない状態に陥り、結果として手が止まってしまう。「見栄えは最後、骨格は最初」という順序感を頭に入れておくだけで、長期運用拠点の寿命は大きく伸びる。都市計画で先にインフラ、後から建物が入るのと同じ発想だと覚えておくと腑に落ちる。

このSTEPのまとめ -- 拡張耐性の自己診断

  • モジュール規格 -- 幅・高さ・扉位置のルールが一つ決まっているか
  • 空き予約 -- 次に広げる方向のスペースが一つ確保されているか
  • 比率感 -- メイン部屋の縦横比が2対3か3対5に寄っているか
  • 骨格優先 -- 通路と外壁が装飾より先に決まっているか

規格ひとつ、未来の拡張ひとつ。

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