週課・日課に振り回されない設計
「今日もやらなきゃいけないタスクがある」MMORPG(大規模多人数オンラインRPG)のエンドコンテンツ期に入ると、ほぼ全員がデイリー(日課)やウィークリー(週課)と呼ばれるタスクに出会う。最初は報酬目当ての楽しみだったはずが、ある日突然「こなさなきゃいけないもの」に変わっていることに気づく。気づいた瞬間、プレイの手触りが少し重くなる。このSTEP2では、日課と週課を義務化させない設計思想を、実践寄りに整理していこう。
日課と週課の正体 -- 運営が組んだ継続装置
デイリーとウィークリーは、ゲーム運営側が意図的に配置した継続装置だ。毎日あるいは毎週ログインしてもらうために設計されている仕組みで、プレイヤーの継続プレイを促すための優れた設計として機能している。
ただ、この装置には表と裏がある。
- 表 -- 毎日少しずつ報酬が積み重なる達成感、ログイン動機の確保
- 裏 -- やり忘れると損した気分になる、時間が拘束される、義務感が蓄積する
表の部分だけを楽しんでいるうちは問題ない。裏の部分が重くなり始めたときに、プレイ体験が変質する。「やりたくてやっている」から「やらないと損だからやる」への変化が、いつの間にか起きている、というパターンだ。
義務化の始まりを見抜く
義務化はある日突然起こるのではなく、徐々に進んでいく。その進行のサインを早めに見抜く目を持っておくと、対処しやすい。
- 日課を消化する順番が決まっている
- やり終えるまでログインした気がしない
- やれなかった日に、翌日の自分に少し腹を立てる
- 新しい日課が追加されると、喜びより先に負担を感じる
- デイリーリストを見ると溜息が出る
これらのサインは、義務化がすでに進行している合図だ。自分がどの段階にいるかを、正直に見てみよう。
全部こなすことをやめる -- 選択の発想
義務化の一番の原因は、「全部やらないといけない」という思い込みにある。でも、本当に全部やる必要があるかというと、ほとんどのゲームではそうではない。
日課や週課のなかには、本当に重要なものと、あってもなくてもいいものが混ざっている。
- 土台系 -- レベル上げ、装備更新、進行の要になるもの
- 報酬系 -- アイテムやゴールドの副次報酬が目的のもの
- 交流系 -- ギルドやフレンドと一緒に楽しむためのもの
- 惰性系 -- やってきたから続けている、特に必要のないもの
惰性系を一度やめてみる発想が効く。惰性系を止めても、ゲームの進行には大きな影響はない。むしろ、止めた瞬間に「これ、なくてもよかったんだ」という軽さを実感できる場合が多い。
優先順位を3段階に絞る
日課と週課の全部を並べて、3段階に分けてみよう。
- S段階 -- これをやらないとゲームが回らなくなる水準のもの
- A段階 -- やると明らかに得るものがあるが、なくても困らないもの
- B段階 -- 惰性、気まぐれ、あってもなくてもいいもの
S段階は毎日やる。A段階は気が向いた日だけ。B段階は完全にやめる。この3段階を自分の中で決めておくと、日課リストを見たときの心の負担がずっと軽くなる。
「やらない日」を設計する
もう一つ、効果が大きいのが「やらない日を計画的に作る」という発想だ。
週に1日でいい。日課にも週課にも手を付けない日を、先に予定として決めてしまう。その日はゲームをしてもいいし、しなくてもいい。でも、日課だけは触らない。
この設計をすると、日課の呪縛からの解放を体験できる。やらない日を経験すると、「やらなくても世界は回る」という事実を体で理解する。そうやって、自分の選択権を取り戻していく感覚が、義務化を防ぐ一番の方法だったりする。
1週間単位で見る発想
日課を1日単位で管理すると、どうしても義務感が募る。そこで、管理の単位を1週間にずらしてみる発想が効く場合がある。
- 「今週の日課、7日中5日できれば十分」
- 「今週の週課、終わらなくても翌週に持ち越していい」
- 「今週は日課をスキップして、別のコンテンツに時間を使う」
1週間単位で見ると、1日のスキップが大きな問題でなくなる。全体で帳尻が合っていればいい、という発想に切り替わると、毎日の重さが軽くなる。運営の設計が「毎日ログインしてね」というメッセージを出していても、それを自分のペースに翻訳し直す権利は、プレイヤーの側にある。
自己診断 -- 義務化の進行度
- サインの確認 -- 義務化のサインが自分に出ていないか
- 3段階分類 -- S/A/Bの区別を日課リストに適用できるか
- やらない日 -- 週に1日だけでも設計する準備ができたか
- 1週間単位 -- 毎日の重さを週単位に薄められるか
最初の一歩 -- 自分の日課を3段階で仕分けする
今日の一歩は、地味だけど効く。今やっている日課を全部書き出してみる。そして、それぞれにS・A・Bのいずれかを付けてみる。
書き出してみると、自分が思っていた以上にB段階が多いことに気づく場合がある。B段階だけでも、明日から一度捨ててみよう。捨ててみて、明らかな支障がなければ、そのまま続けてやめればいい。
日課は、本来ゲームを楽しむための仕組みだ。楽しみを奪う仕組みに変わった瞬間、それは捨てていい。自分のゲーム体験を、運営の設計から自分の手に取り戻していこう。
ゲームの「うまくなり方」を体系化するNEXTGG編集チーム。ジャンル別プレイヤーと共に、検証と実プレイを重ねた上達メソッドを届けている。